2000年7月3日のMail。
MMさん。
お手紙をありがとうございました。講談社を経由して、無事に届いています。素晴らしい内容で、励まされました。感動する、させるエネルギーの何たるかをよくご存知と思いました。あなたは才能があると思います。だから近い将来、きっとどこかの賞に受かると思いますよ。頑張ってください。
外国に行くのはとてもよい経験です。英語になじむことは、日本語の文章にとっても必ずプラスです。セリフもそうですし、言いまわしを論理的にする効能もあります。近代の日本語というものは、翻訳形によってずいぶんと前進しましたので。森鴎外の「舞姫」なんて、彼女を「彼」と言っていますものね。当時まだ「彼女」という日本語がなかったようです。日本語というのは、漢語まで遡れば、実は大半翻訳語でできているんですね。
本格でなくてもいいですから、ミステリー系列の作品ができたなら、いつか読ませてください。私が力になるとしたら、ミステリー系の作品でないと、編集者は戸惑うと思います。
イギリスに持っていくPCは、日本で買ったノート型パソコンがいいですよ。現地で英語のもの買うとなかなか苦労しますし、故障した場合、PCは絶対に日本に持ちかえらないと修理ができませんしね。だからデスクトップもお勧めではありません。そうか、でもイギリスは220vか。アメリカや日本の倍ですね。アメリカ製のものなら、どこでもそのまま使えるものがあるけど、日本製のトランスも買って持っていくのがよいと思います。まあ秋葉原で相談した方がいいですね。
ロンドンなら、日本語話すスタッフがいるプロバイダーが、きっとあると思います。まあ行けば、同じような境遇の人もいるだろうし、何とかなりますよ。
イギリスも、おそらくインターネットにほとんどお金がかからないのではないでしょうか。だからGreen Roomにアクセスするのも、日本でより楽でしょうね。
では頑張ってください。
島田荘司。
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