ishigeさんへ

2002年1月30日、石毛さん宛て。ミタライ・カフェの説明

石毛さん、

 今ミタライ・カフェの絵、ファックスで送りました。あと私は、例の最後のエッセーをやりたいので、この絵をもとにそちらで協議し、俯瞰図を描き、細部を膨らませ、機能的に完全になるように、全体を完成していただけると大変助かるのですが。
この『ミタライ・カフェ(レストラン&カフェ)』の細部に関しての私の把握を、以下に述べます。

 1.湖よりの立方柱の建物は、1階がカフェです。1階フロアの奥まったあたりには、大きな暖炉があるはずです。実際に炎が見えます。ここの手前には2段くらいの円弧状の階段があって、暖炉はちょっと低いフロア位置にあります。
 この暖炉は、何らかのかたちで読者に見せたいのですけれどね。

 2.2階はバーでしょうか。そしてここにはピアノが入っているのではと思います。

 3.このカフェの売りは、湖畔に向かって突き出したガラス張りの部分ですね。ここは天井までガラス張りになっていて、ガラスは電熱線を表面に這わすか埋められるかしていて、ガラス自体を暖められます。だから厳冬期、外は吹雪きで、中はがんがんストーブ焚きという状況でも、ガラスは曇らない。

 4.円弧状に並んで、カフェ・テリアのガラス・ハウスの、天井ガラスと壁ガラスを支えているのは、右下に描いたような鉄骨アングル。これなら上部は湾曲ガラスになります(もしもこれが無理なら、板ガラスでも妥協します)。そして上天井部には、夏期の強い陽射しために(スウェーデンも夏の陽射しは強いです)、キャンバス・ロールがつきます。
 ここのフロア形態は、桟橋寄りの右向こう側角をコンパス的中心とした3/4円ですね。俯瞰図も描いた方がいいのでしょうけれどね。床は石貼りです。

 5.手前の玄関ピロティは、すると左手前角をコンパス的な中心とした、3/4円の方がいいかもしれません、それで縦方向のバランスがとれます(今はそうなっていません)。それで俯瞰図、描いてみてもらえるといいのですけれどね。

 6.ガラス張り部分を持つ立方柱のカフェ部の建物は、上に塔が乗っています。これはBの8の写真を参照してください。塔の中には鐘が下っているはずです。

 7.手前の細長い部分は、1階、2階ともにレストランが入っています。ここは床は板張りです。ここにもピアノが入っていていいかもしれません。 双方ともに、フロアに大きな造り付け暖炉があるはずです。屋根に煙突ありますから。

 8.そしてたぶん、1階に大型厨房があるはずです。地下にはワイン・セラーでしょうか。

 9.高橋さん案の建物では、これはヨーロッパのかなり南、南仏か、イタリーの感じですね。スウェーデンの建物は、まず吹き抜け型のテラスというものは持たないんですね。豪雪地帯ですから。それから、噴水も見ないですね。まあしかし、もしかしたらあるのかもしれません。ともかく庭は石敷きにして、噴水はなくしてあります。これは復活していただいてもいいですよ。

 10.この建物の感じは、もしかすると、かつてカトリックの修道院か何かで、これを改造し、ガラス・ハウスなど造り足して、レストラン&カフェにしたのかもしれません。すると室内には、その時代の名残が何か残っているかもしれませんね。たぶん鐘の塔の下あたりに。

 11.『ミタライ・カフェ』表紙は、このカフェの俯瞰図を下部に、上半分はウプサラの風景写真、なんていうのがよいと、現時点で私はイメージしています。

 ともかく、高橋案の下敷きがあったから、比較的容易にこれだけできました。彼によくお礼言っておいてください。もっと図面送った方がよいなら描きます。どんな部分かを具体的に言って、要求してください。
 ではいろいろ、よろしくお願いします。

島田荘司。

 

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