オサマ・ビンラディン氏率いるアルカィーダ(英語のBaseの意)は、1説には推定2万人の兵力を持つといわれます。そのうちの半分以上がエジプト人と考えられています。そうなると、これはかなり知的な集団と考えられます。エジプトの教育水準は、アメリカや日本と変わらず、高いからです。
 オサマ・ビンラディン氏はイエメンの生まれ、しかしサウジアラビアで成人し、この国の市民権を持っていました。しかし現在、国際的なお尋ね者となったため、サウジアラビアの市民権は失われています。
 オサマの下に、ヴァイス・プレジデントが2人います。名前をそれぞれムハメド・ライスと、アイマ・アル・ツワハリといいます。アイマ・アル・ツワハリは、1981年にエジプト大統領サダト暗殺を指令したエジプト人として、国際的に有名になりました。エジプトでは医者の家系で、彼自身、きわめてインテリです。
 アフガニスタンは、パシュトゥー人、ウズベク人、タジク人、ハザラ人などからなる多民族国家です。アルカィーダ構成員は、これらとは異なり、大半が異民族です。しかしタリバンが彼らをかくまう理由は、同じモスリムのスンナ派だからです。サウジアラビアも、エジプトも、パキスタンも、この宗派です。
 しかし反対隣のイランはシーア派で、宗派が異なります。両宗派は敵ではありませんが、神の解釈や、儀礼の様式が異なります。したがって、オサマがイランに逃げ込む可能性は低いと考えられます。シーアはこのほか、トルコの一部、レバノンの半分などに分布します。
 アルカィーダはこれまで、タンザニアとケニアで、アメリカの大使館や関連施設にテロをしかけていますが、そのたび、モスリムには犯行声明を出していました。しかし911テロにおいては、何故か対モスリム犯行声明が出されませんでした。
 アルカィーダなど、モスリムの原理主義者たちのアメリカへの要求は、
1、イスラエルをはじめとする中東問題から手を引くこと。
2、メッカのある最大の聖地、サウジアラビアから基地を撤収すること。
 となっています。そうすればテロは起こさないと主張しています。
  現在、テロという行為に対する定義が確立されていません。これは意図的なものと疑える要素があります。その理由のひとつは、たとえて言うと、戦前のように日本が朝鮮を植民地にしている地代で考えると、朝鮮人民の抗日独立ゲリラ闘争をテロと主張することになります。テロ対正義という単純な図式は、このように政治に利用されやすい側面があります。こういう国内事情は、現在ロシア、中国、インドなどの各国家が持っています。

 イスラエルの全ジュイッシュの人口は、約500万、カイロの全人口2000万人の4分の1です。この少なさは、ヒトラーのせいもありますが、いずれにしてもアラビック国家群からすれば、ほんのひとひねりの相手です。これが潰せないのはアメリカの全面支援のせいですが、過去アメリカの大統領選に合わせ、イスラエルへの武器支援や、戦争が起こってきました。
 これは米国内のジュイッシュの影響力のゆえです。ところが全米25000万国民のうち、ジュイッシュは600万人、たったの2%です。このわずかな人数が、アメリカの強固な親イスラエル国策を作り得るのは、1に議会におけるジュイッシュの比率が高いためです。一説には70%近いといわれます。
 次に米大統領選の、代表選挙人制度でしょう。これは西部開拓地代の古典的な制度で、現在ならオンラインなどによって、国民全員選挙の実施は、不可能ではありません。
 さらには、ジュイッシュの大多数が、ニューヨークなど都会こ集中して暮し、医師、弁護士、学者などの知的階層を占めているためです。こういうありようが、民主主義の原則に照らして正当であるか否かは議論です。

   イスラエルの軍隊は、2000年から2001年に跨る1年間で、約2000人のパレスチナ難民を殺害したと言われます。難民には武器はなく、闘いの手段は投石だけです。殺害は毎年続いていますから、この数はNYテロの被害者を大きく上まわると、多くのモスリムは考えています。
 ジュルサレム(エルサレム)は、イスラム教、ユダヤ教、キリスト教の共通した聖地であり、昔から各宗教の聖戦の舞台となってきました。このままの構造では、平和は永遠に訪れません。いずれここは国連の管轄下に置き、どの宗教徒も独占することのない、バチカンのような国際共同管理地域とすることが唯一の解決策と思われます。しかし現在イスラエルの軍事力が抜けているために、このような提案の機会が生まれずにいます。
 激しく敵対しているのはユダヤ教とイスラム教です。イスラム教徒とキリスト教徒とは、割合平和裏に共存しています。もし国際共同管理が実現できないのなら、ユダヤ教徒とイスラム教徒を平和裏に並存させる方策を、探るべきです。

 

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