TBS月曜ミステリー劇場 脚本:高田純

[多摩川河川敷]

畑山「どういうことなんだこれは」
室井「致命傷は心臓に刺さったナイフによる傷ですが、その下に、ごく浅目の刺し傷が見られます」
斎藤「おそらく最初に心臓の下を突いてはずし、二度目に致命傷を与えたものだと思われます」

[染谷医院病室]

萌子「刑事さん……」
副院長「5分で切り上げてくださいよ。哲郎くん」
副院長、萌子の息子をうながして出ていく。
吉敷「すみません、手短にしますので、少しお話を」
萌子「ええ、夫を殺したのは壇上淳子という女です」

[染谷医院院長室]

吉敷「出張の前日の18日は、どこで何をしておられました?」
染谷「(やや憮然となり)午前中から午後にかけて、ずっと外来の診察をしていました。夜は定例のスタッフ・ミーティングで、九時すぎには自宅に戻って、翌日の学会の支度をしていましたね」
萌子「それは私が証明いたします」

[小出家応接間]

小出「解っています。彼女は18日から19日にかけて殺されたんでしょう? でもその写真はまさにその日に、はやぶさの車内で彼女を写したものなんですよ」
吉敷「なんですって?」
妻サキ「主人も私も狐につままれたようなんですが、事実は事実で……」

[現場で]

畑山「おう坊や、おまえは吉敷と組め。警務部の気まぐれ人事で、迷宮班から出戻ってきた先輩だ。昔から上の言うことをきかねぇ困ったデカさんでな、お守りを頼む」